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京都神具製作所 友の会 <特別寄稿 2>


神祇装束で参拝する

岐阜県  杉 茂樹

杉 様

私はごく普通のサラリーマン。
昨年の晩秋のある日、街の書店で神道関係の方が書いたエッセイに出会った。
平易な文体で一般人にも分かり易く書かれたその書物は、
読むうちに引き込まれ、続編、続々編と貪るように読んだ。

その本によれば「神道」は宗教ではなく、
古来から祖先たちが伝えてきた日本人の人生観、自然観であるという。
ストレスでこころがカラカラに乾いていたからか、
言葉のひとつひとつが心だけでなく、
体全体に深く浸透していくのが心地よかった。
以来私は各地の神社に参拝し、
遠い祖先からのメッセージを心に刻むようになった。

世紀が改まって春まだ浅きある時、私は白装束で参拝したくなった。
それは何冊目かの本に「神官の白装束は神をお悦ばせするため」
といった内容がかかれており、
「ならば私も白装束で・・・」と勝手に解釈したのである。

しかしインターネットで二三問い合わせたら何処も門前払いにあった。
そうしたところ京都神具製作所から「それはよいこと」と応援メールをいただいた。
私の考えでは白の着物に袴を想定していたが話しを進めるうち、
正式参拝ならば狩衣、烏帽子、浅沓に笏という話しになってきた。

これではコスプレ・ファンと思われそうで正直大いに抵抗があった。
しかし社長、専務の熱心なアドバイスで、
思い切って狩衣姿で参拝させていただくことにした。
神社も宮司様の計らいで京都御所に近い由緒ある社と決まった。

当日は生憎の曇天であったが、京都神具社長にご同伴いただき、
まずは社務所であいさつしたあと着替えて社頭へ向かう。
しかし浅沓はうまく歩けない。
狩衣の袖や裾も処理できない。
装束だけでなく頭の中も真っ白の状態。
久しぶりに味わうこの緊張感と恥ずかしさ。

杉 様

「神様をお悦ばせするため」というのは何処へ行ってしまったのか。
時間が遅々として進まない。
宮司様の懇切丁寧な作法指導のもと玉串を捧げなんとか参拝終了。
このころになってやっと周りの様子が見えるようになった。

と同時に狩衣姿という非日常の世界で静寂のなかに身を浸していることが
とてつもなく有り難く、また精神的にも何かしら大きな物を得たように思えた。
これが神の存在を認識するということなのであろうか。

いずれにしても貴重な体験をすることができ、
私にとってはとても有意義なひとときであった。
新幹線に飛び乗り、若葉に染まる京都の街をあとにした時、
時計は7時を廻っていた。

数日後京都神具から当日の写真を送っていただいた。
そこには板についていない神官風の男が写っていた。

二度目の参拝日はまだ決まっていない。
神の導きを待っている。

2001年6月

【京都神具製作所 友の会】

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